Tokyo, Japan

スーパーコンピュータ「富岳」のユーザーサポートにおける生成AIチャット「AskDona」の 導入・運用実績レポートを公開

問い合わせを61%削減。次世代RAGアーキテクチャの回答精度を比較検証。

2025年7月11日

GFLOPSのロゴ
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スーパーコンピューター「富岳」の画像
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 株式会社GFLOPSと理化学研究所(以下、理研)計算科学研究センター(以下、R-CCS)は、スーパーコンピュータ「富岳」(以下、「富岳」)の利用者向けサポートサイト(以下、富岳サポートサイト)に導入された生成AIチャット「AskDona(アスクドナ)※1」の導入・運用実績をまとめたレポート(以下、本レポート)を公開したことをお知らせいたします。

◾️本レポートの閲覧

本レポートは以下URLよりご覧いただけます。
https://askdona.com/askdona-riken-report/

◾️本レポートの概要

生成AIチャット「AskDona」が利用者の「思考のパートナー」として定着

 「AskDona」は、月間平均約680件の質問に対応するなど、日常的なサポートツールとして利用者に定着しています。導入後10カ月間で、複数の情報統合を必要とする「複合的なクエリ※2」の割合は2.3%から10.0%へと約4.3倍に増加しました。これは、利用者が生成AIを単なる「検索ツール」から、より高度な問題解決を委ねる「思考のパートナー」として認識し始めていることを示唆しています。

富岳サポートサイトの有人サポート業務を最大61%効率化

 問い合わせ窓口を「AskDona」に統一した結果、有人サポートへの質問チケット※3発行数は劇的に減少し、2025年4月には前年同月比で最大61%の削減を達成しました。従来、担当者が約4時間を要していた問い合わせが約5秒で解決された事例も確認されており、24時間体制での迅速なサポートと、サポート担当者の高付加価値業務へのシフトに大きく貢献しています。

独自のAgentic RAG技術による圧倒的な性能を実証

 「複雑な質問」に対する回答精度を、主要なクラウドRAG(検索拡張生成)※4サービス(Azure、GCP、AWS)およびOSSフレームワーク(LangChain)と比較評価しました。その結果、比較対象システムの平均スコアが61ポイントであったのに対し、「AskDona」はそれを22ポイント上回る平均83ポイントを記録しました。特に、複数情報を統合する「網羅性」や専門的な「実用性」で顕著な差を示し、その技術的優位性が明らかになりました。

本レポートで得られた知見を公開し、生成AI技術の社会実装をさらに促進してまいります。

<株式会社GFLOPSについて>

 株式会社GFLOPS(ジーフロップス)は、大規模言語モデル(LLM)とRAG(検索拡張生成)技術を組み合わせた独自のソリューションを強みとし、企業の業務効率化とイノベーション創出を支援するAIソリューションを提供しています。

会社名:株式会社GFLOPS(英語表記:GFLOPS Co., Ltd.)
代表者名:盛本マリア 共同代表:鈴木亮祐
本社所在地:東京都渋谷区
事業内容:大規模言語モデル(LLM)生成AI技術などを活用した、AIサービスの開発・提供
HP:https://gflops-ai.com/

<理化学研究所計算科学研究センターについて>

 日本で唯一の自然科学の総合研究所である理化学研究所において、次世代の「計算科学」の世界トップレベルかつ日本の中核拠点の研究センターとしての活動を目標としています。スーパーコンピュータ「富岳」に続く次世代のスーパーコンピュータに向けた研究開発のみならず、量子コンピュータなどの新たな計算技術との連携、劇的に進化する「AI for Science」に向けた基盤モデルの開発などによって得られた成果は国民生活や産業・経済の向上に役立つと期待されます。

センター長:松岡 聡
本部所在地:兵庫県神戸市
HP:https://www.riken.jp/research/labs/r-ccs/index.html

※1 AskDona(アスクドナ):理研計算科学研究センター(R-CCS)が富岳サポートサイトに導入済みの生成AIチャット。RAGの応用技術を用いて、「富岳」のマニュアルや技術ドキュメントを参照しながらユーザーの質問に答える仕組みを備える。AskDonaサイトURL:https://askdona.com

※2 複合的なクエリ:クエリとはユーザーが送信したメッセージ(質問文)を指す。「複合的なクエリ」とは、単一の情報源のみからは回答を導き出すことが難しく、複数の文書を横断的に参照し、それらに含まれる情報を多角的に統合・分析することによって、適切な回答を得ることが可能となる質問のことをいう。

※3 質問チケット:富岳の利用者がサポート担当者へ問い合わせる際には、問い合わせシステムを通じて個別の問い合わせが発行される。利用者から寄せられる質問や依頼は、それぞれ1件ずつ「チケット」として管理される。

※4 RAG(検索拡張生成):大規模言語モデルが回答を生成する際に、外部のドキュメントやデータソースをリアルタイムで参照させる技術。ハルシネーション(幻覚)を生成するリスクの低減や回答の正確性向上に寄与する。RAG はRetrieval-Augmented Generationの略。

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